こちらの記事では、外壁打診調査の全貌について解説します。外壁打診調査の行う時期や必要性、調査方法など有資格者が知っておくべき内容をご紹介。外壁打診調査について詳しく知りたい方はぜひ参考にして下さい。
目次
外壁打診調査とは何か
外壁打診調査を行う時期
外壁打診調査の必要性
外壁打診調査を行うには資格は必要?
外壁タイルが落ちてしまう理由
年数の経過
施工不良
温度や湿度
振動
外壁打診調査の種類
赤外線法
打診法
打診法の調査方法
足場
高所作業車
ゴンドラ
ブランコ作業
外壁打診調査を実施しないといけないの?
建築基準法違反になる恐れ
通行人にけがをさせる恐れ
まとめ
外壁打診調査とは、外壁の損壊レベルを調査することをいいます。外壁打診調査を実施することで、未然に崩壊を防ぎ、歩行者などに被害が出ないようにする目的で実施します。建築仕上診断技術者の有資格者が知っておくべき内容について詳しく見ていきましょう。
外壁に異常を見つけたときはすぐに調査を実施します。また、外壁に異常がなくても、竣工や外壁改修から10年以上経過していても調査が必要です。これらの条件でなければ、外壁打診調査を実施しなくても法律的には問題ありません。
外壁は自然現象によって劣化していきます。雨風を受け続けると、外壁は劣化するので、それを調査する必要があります。放置し続けると、外壁にひびが入ったり、表面に白い粉が浮き出てきたり、タイルが浮いたりします。このような問題が生じた際には、外壁打診調査が必要となってきます。
外壁打診調査を実施するには特に資格を必要としません。ただし、外壁打診調査協会が認める資格を持っている又は調査実績が複数ある会社に依頼することをおすすめします。
又調査の結果をもとに改修工事や部分的な補修工事等も検討する場合は、普段外壁工事をおこなっているものが調査を行うかどうかが重要になってきます。調査の目的に合わせて依頼する会社を選ぶことが大切です。
外壁のタイルが落下し、歩行者に当たると大きな問題となります。タイルが落下するのは非常に危険です。では、なぜタイルが落下するのでしょうか?タイルが壁に張り付いている状態でも、時間とともに浮いてくることがあります。タイルが浮くと、隙間が生じ、タイルが落下する原因につながります。以下の内容はタイルが落下する原因となります。
年数が経過すると、付着力が下がり、タイルと外壁に隙間が生じます。隙間が生じることで、タイルが剥がれ落ちる原因となります。経年劣化は必ず起こるので、定期検査が必要です。
外壁にタイルを貼る前に、外壁を洗浄してからタイルを貼っていきます。外壁を貼る前にきれいに汚れを落とさないと、タイルがすぐに落下してしまう原因になります。施工不良によりタイルがはがれやすくなる場合があります。
高温や湿度などの差により、タイルが剥がれ落ちる原因につながる場合があります。温度や湿度変化が起こると、粘着物にダメージが与えられ劣化の原因になります。
建物が振動することにより、タイルの浮きに影響を及ぼします。強風や地震などが原因のひとつです。
外壁打診調査の種類は大きく分けて2つあります。赤外線カメラを利用した「赤外線調査」と専用の道具を利用して音で判断する「打診法」に分けられます。この2つの特徴について詳しく解説していきます。
赤外線法は、赤外線カメラを使用して外壁の温度差で判断する方法となります。赤外線を利用することで、温度の高い場所と低い場所を判別し、タイルの異常部(浮き)を確認できます。赤外線法での良い点は、コストが低い点です。使用する道具なども少なく、調査費用を大きく抑えられるのがメリットの1つ。ただし、打診法と比べると、建物の状況により精度にばらつきがあるというデメリットがあります。
また、雨がふると調査は行えない為、天候に左右されます。費用を大きく抑えられますが、精度のばらつきや天候に影響されるのが赤外線法の特徴です。
打診法は、打診棒でタイルをたたき音で浮きを確認する方法です。タイルをたたくと、浮いている箇所とそうでない箇所では音が違います。外壁内部は、空気の層でできているので、タイルの浮きがあれば、高い音がします。赤外線法と比べれば精度が高いです。
ただし、一般的には足場仮設が必要になるため、赤外線法と比べると費用がかかります。人間の手で確認するので、費用だけでなく時間もかかるのが特徴的です。
赤外線法は足場を作る必要はありません。基本的には、赤外線カメラで地上から撮影するだけで確認できます。打診法では、足場かけるなどさまざまな方法で実施されます。打診法の具体的な方法についてみていきましょう。
外壁の周りに足場を作り、その上に乗った状態で外壁調査をする方法です。足場を設置する費用や時間がかかるのが特徴的で、大規模な工事などでよく利用される方法です。
高所作業車を利用する場合は、足場を作る必要はありません。高所作業車のプラットフォームに乗って作業します。道路使用許可証や警備員などを必要とし、費用が高くなる傾向にあります。また、狭い道路では作業ができないことがあります。
ゴンドラは建物の屋上からゲージを吊るし、そのゲージに乗り込んで作業する方法です。都会の高層ビルなどで、よく採用されています。この方法の特徴は、設置費用が高く、風に弱いというデメリットがあります。場合によっては道路使用許可証なども取得しなければゴンドラ作業はできません。
産業用のロープを上から垂らし、それを使って外壁調査をする方法です。足場を作る必要がなく、道路使用許可証も必要ないので、比較的安価に作業を行えます。ただし、建物の形状などによっては、他の方法よりも費用が高くなる場合もあります。
外壁打診調査は必ず実施しなければいけないのでしょうか。外壁打診調査を実施すると費用がかかるので、実施したくないと思うかもしれません。ですが、外壁打診調査を怠ると罰則があるケースがあるので注意が必要です。
建築基準法 第十二条には特定行政庁に特定建築物の所有者または管理者から定期的に検査・報告をしなければならないとされていて、外壁打診調査の罰則は建築基準法に定められています。
建築基準法 第百一条では、「次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。」とされています。
「二 第十二条第一項若しくは第三項(これらの規定を第八十八条第一項又は第三項において準用する場合を含む。)又は第五項(第二号に係る部分に限り、第八十八条第一項から第三項までにおいて準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」
虚偽の報告や、定期報告をしない場合は、罰金の対象となります。
外壁打診調査を実施しないと、通行人にけがをさせる恐れがあります。もしタイルが剥がれ落ち、通行人に接触してしまうと罰金よりも大問題です。定期的に外壁調査をすることで、事故を未然に防ぐことができます。今現在、外壁に問題がなくても、外壁の状態を知る意味で、定期的に外壁調査を行うことをおすすめします。
外壁打診調査についての必要性や方法を解説させていただきました。外壁打診調査には、「赤外線法」か「打診法」があり、どちらにもメリットデメリットがあります。また、外壁にひびが入っている状態で放っておくと、通行人に被害が出る可能性があります。定期的に外壁を調査することで、事故を未然に防ぎ、安全な外壁を保つことができるでしょう。