外壁は経年により劣化するのは避けられませんが、マンションやビルなどの大型の建築物では、外壁の剥離が起こると落下して歩行者などに怪我をさせる危険性があります。
実際に外壁タイルの落下事故事例が発生し、安全性の確保のため平成20年4月に建築基準法の法改正が実施されました。
法改正前の制度では、外装やタイルなどの定期的な外壁診断義務はありましたが、外壁調査を行わなくても特に罰則はありませんでした。新しい制度では、定期的な外壁診断に加えて、竣工か外壁改修から10年を経過した建物や、全面打診で検査した後10年を超える建物などを対象に、定期報告を行う事が義務付けられました。報告を怠ったり、虚偽の報告を行った場合は罰金が科されます。
外壁調査には、主に打診調査と赤外線調査の2種類が存在します。打診調査は専用の打診棒で壁を叩いた時の反響音によって、外壁タイルやモルタルの浮き状態を判別する方法です。音だけでなく職人が直接壁を見て確認できるため、細かく確実な調査が可能となります。
打診を行う場所が高所の場合、仮設の足場やゴンドラの用意が必要で、丁寧に確認できるぶんコストや時間がかかります。赤外線調査は、外壁タイルなどの浮きで生じる温度差を赤外線カメラにより識別し、改修が必要な箇所を特定します。
地上から広範囲を短い時間で調査する事ができるため効率的な方法です。しかし天候や気温、太陽の位置や風速など周囲の環境から影響を受けやすく、信頼性は打診調査よりは高くありませんが、日々精度が向上していて官公庁の建物では全面打診と同等とみなし主流の調査法になっています。