建築基準法では、大型商業施設や医療機関といった、日頃多くの人が利用する建築物のうち、行政庁が指定したものについては、特定の時期に所有者が建築物の構造や設備等について、専門業者に調査を実施させ、その結果を報告しなければならないことが定められています。
この実施しなければならない調査の中には、外壁調査も当然のことながら含まれています。
建築物の所有者が行わなければならない報告には、定期調査と全面打診調査の2種類があり、報告しなければならない時期が異なります。
定期調査の報告周期は1~3年で、建築物の種類や規模、構造などに応じて異なります。また、定期調査の細則は行政庁が決めることとなっているため、行政庁によっても報告周期が異なっています。
一方、前面打診調査は、建築物が竣工した時もしくは外壁の改修工事が完了してから10年周期で実施する必要があります。このような仕組みであるため、建築物によっては定期調査と前面打診調査を一緒に行わなければならない年も生じることになります。
なお、定期調査の報告書と前面打診調査の報告書を期限を守って提出しないと、行政庁から督促状の送付などによって報告書の提出が促される場合があり、これに応じなければ建築基準法違反として、100万円以下の罰金刑を科されます。
また、期限を守って報告書を提出したとしても、その内容に虚偽があった場合も罰則の対象となっています。こちらの場合もすぐに刑罰が科されるわけではないので、行政庁から報告書の不備を指摘された場合は必ず修正して提出し直すようにしましょう。